11月5日(土)に講堂で開催された第23回岐阜シンポジウム(PCサイト)に参加しました。
小惑星「イトカワ」から細かな粒子を持ち帰った,「はやぶさ」に関する最先端科学のお話しをお聞きすることができました。
解かれていない宇宙の謎,「はやぶさ」に活かされた最新技術,そしてプロジェクトに関わった皆さんの熱い情熱,門外漢のY先生も,科学者の真摯な姿をまぶしく感じました。
3人の講師の皆さんが,講演の中で強調されていたのは,個々のすばらしい科学成果や技術の進歩だけでなく,未知の世界に対した挑戦する若者への大いなる期待感でした。
「科学における未知の問題を解く」という志にあっては,大学の先生も若者も道を同じくする同志ではないでしょうか?
若者の方が,少し遅れてついてきているだけです。高い志と情熱をもった学生は,いつか大学の先生を追い越し,先生方が解決できなかった問題をいとも簡単に解決することでしょう。
Y先生を含め,大学の先生方は,こんな若者が岐阜大学から巣立っていくことを願わずにはいられません。本当に心洗われる岐阜シンポジウムでした。
このような感想を得て,司馬遼太郎の「21世紀に生きる君たちへ」という本を思い出しました。何年か前の卒業生に,旅立ちの一冊として送った本です。本の中で司馬は,
「21世紀を生きる若者たちが向かっていく世の中には,未知のもの,予測不可能とも言うべき困難が待ち受けている。様々な環境問題も,地球規模で進行しており,これらの課題を乗り越えることが,若者に課せられた責務となる」
と述べています。そして,若者に期待しながら,人類の英知を賭ける闘いではあるが,その難題をクリアできると,エールを送っています。
そのために,次のような言葉で文章を閉じています。
「私は自己を確立せよ,と言った。自分に厳しく,相手にはやさしく,とも言った。いたわりという言葉も使った。それらを訓練せよ,とも言った。それらを訓練することで,自己が確立されていくのである。そして,“たのもしい君たち”になっていくのである。以上のことは,いつの時代になっても,人間が生きていくうえで,欠かすことができない心がまえというものである。君たち。君たちはつねに晴れあがった空のように,たかだかとした心を持たねばならない。同時に,ずっしりとたくましい足どりで,大地をふみしめつつ歩かねばならない。私は,君たちの心の中の最も美しいものを見続けながら,以上のことを書いた。書き終わって,君たちの未来が,真夏の太陽のようにかがやいているように感じた。」 :Y先生のひとりごと