2015年2月

2015/02/02ラジオ「岐阜大学からこんにちは」 村上啓雄先生

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ラジオFMわっち(78.5MHz)の「わっちアフタヌーンアワー」の中で,岐阜大学の情報をお届けする「岐阜大学からこんにちは」。今回は,医学部附属病院 副病院長の村上 啓雄先生に出演いただきました。


○身近な感染症とは
 インフルエンザ,ノロウイルスによる胃腸炎(=いわゆる胃腸かぜ)は,私たちの身近にある冬場の2大感染症です。特に今シーズンのインフルエンザは例年より2~3週間流行するのが早く,現在ピークを迎えつつあります。
 ノロウイルスによる胃腸炎の流行時期は,11月下旬から年末頃がピークと言われていますが,インフルエンザと違いほぼ一年中患者さんが一定数発生するという点に注意が必要です。

○予防、感染拡大を防ぐには
 基本的なことですが,「マスク」,「うがい」,「手洗い」が大切です。
○マスク
 一般に健康で無症状の方がいつもかもマスクを着用する必要はないとされますが,インフルエンザ流行時期においての着用は一定の効果があります。本来マスクを絶対に着用しなければならない人は咳,発熱,のどの痛みなどのインフルエンザを含めた風邪の症状がある方になります。「咳エチケット」という言葉をご存じでしょうか。症状がある人がマスクを着用することで,近くにいる人への感染の危険を極めて少なくすることができるのです。周りの方々への配慮を常に意識してください。体調不良の場合は速やかに帰宅し,マスクを着用して医療機関に受診してください。
○うがい
 予防に有効な手段の一つです。水道水でのうがいで十分な効果が得られるというデータがでています。うがい薬を使用する場合は,用量をかならず守ってください。適切でないとかえってのどを痛め,予防効果がなくなってしまうこともあります。
○手洗い
 最も有効な手段です。手に付着したウイルスが皮膚からしみ込んで直接感染することはありませんが,人間は手を常に自分自身の口元や鼻,眼などに無意識に持って行ってしまい,手に付着したウイルスを粘膜にたどり着かせてしまうため,手洗いして目に見えないウイルスを洗い流すことが重要なのです。普段ドアノブに触るだけでもウイルスや菌が付着する可能性があります。手洗いは石鹸(消毒効果は必ずしも必要ありません。)でウイルスなどを洗い流す方法の他に,手に目に見える汚れが付いていなければアルコールを含む手指消毒薬を積極的に用いるべきです。アルコールを含む手指消毒薬は保湿効果のある成分が配合され,かえって手荒れが起きにくいことも多いです。
 2009年に新型インフルエンザが話題になった際,ショッピングモールや学校など人が集まる場所にはアルコールを含む手指消毒剤が至る所に設置され,皆が使用している様子が見られました。その年,あらゆる感染症について明らかに例年より低い発症件数となりました。手洗いの有効性が実証された結果です。観察していますと,最近ではアルコールを含む手指消毒剤が設置されていても,使用する人はあまりみかけないですね。是非使用してもらいたいものです。


○感染しやすい場所
 今の時期のカラオケは注意が必要ですね。「密室」,「距離感」,「回し飲み」など危険な要素がいっぱいです。感染者が大声で歌う状況を想像してみてください。辺りにウイルスまきちらし,マイクは汚染されてしまいます。この時期のマイクは私には本当に恐ろしいものにみえます(笑)。体調の悪い人は飲み会やカラオケにはいかず,元気になってから遊んでください。これはカラオケが悪いと言っているのではなく,要は体調が悪いと思った方のエチケットの問題です。
 また,トイレ,ドアノブ,交通機関のつり革など,不特定多数の人が共通に手を振れる場所に触れた後は手にウイルスや細菌が付着しているものだという認識を高め,直後に手を洗う習慣を身に着けることを肝に銘じてください。手の清潔こそ感染症予防の第1歩なのです。




「男と女,感染しやすいほうはどっち?」など色々と雑談させていただきました。答えについては,記事内容をヒントに想像すればおのずとわかるかと思います。手の清潔を心がけ,年度末の忙しい時期を乗り越えましょう。

 

:JOLIO