2016/08/23岐阜大学学生保安消防隊:岐阜大学の防災訓練の企画立案をしました!

こんにちは,学生保安消防隊M2の岩崎です。

 今年度から全学共通教育で,新たに防災の科目 「地域防災リーダー(基礎)」&「地域防災リーダー(実践)Ⅰ」 が設立されました。
 「基礎」は地域防災について素人の学生向けに防災のひととおりの知識や技術を身に付ける授業です。「実践」は,基礎の授業を受けたに相当する行政の地域防災リーダー講座の受講者や防災士の資格をもつ人だけが受講できる,レベルがワンランク高い授業です。

 僕たち学生保安消防隊の5人は,防災士の資格をもっていたため,4月から「実践Ⅰ」の授業を受講しました。(5人の学生の内訳は,教育学部3年が2名,教育学部4年が1名,工学部3年が1名,大学院生の僕です。男女比は,男2名・女3名です。)
  <授業の様子>

 この授業では,防災・減災に関する基礎的素養を総合的に活かし,地域防災・減災の様々な課題に関連するプロジェクトを実践するものです。大学における防災減災に関する課題,地域や小中学校などと協働して取り組む防災減災の課題を,PBL(Project-Based Learning)のプロジェクト学習を通じて,学生チームで研究・調査・実践に取り組むユニークな授業でした。

 今回,私たちが取り上げたテーマは,「岐阜大学の全学的な防災訓練の改善」でした。岐阜大学で全学的な防災訓練が始まったのは2年前でしたが,昨年も学生参加者が2~3人で,さらには教職員の参加者も極めて少ないという課題がありました。
 そこで,今年は,大学構成員である学生・教員・職員の三者が,1人でも多く参加していただき,自助・共助の防災意識を高めていきたいという想いで,私たち学生がこの問題解決に挑むことにしました。

 以下のスケジュールで,4ケ月にわたり,指導教員の小山先生・高木先生・能島先生のご助言をいただきながら,チーム全員で納得がいくまで議論を重ねました。

<授業スケジュール>
 1.ガイダンスと導入(テーマの設定,役割分担)
 2.全体セッション(実施計画・次回までの進行)
 3-4.自主学習・小山先生のミニレクチャー
 5.中間発表
  (他大学の学生主体の防災訓練の事例見つけ&岐阜大学への提案)
 6-9.自主学習・総務課さんとの意見交換
 10.全体セッション(課題遂行状況の報告・ディスカッション)
 11-14.自主学習・総務課&大塚製薬さんとの意見交換
 15.成果発表会

 今まで大学の防災訓練の主催者であった「大学本部・総務課」の職員の方々と3回も意見交換をし,私たち学生が総務課さんに新たな防災訓練を提案しました。
 総務課さんから,大学に備えてある災害時の備蓄食料&備蓄物品のリストを提供していただいたり,職員の方ができること・できないことを具体的に示していただいたことに基づき,その制約条件でどうしたら最適解を見いだせるか,毎回の授業で熟考しました。
  <大学本部と学生との打ち合わせ>

*限られた備蓄食料や人材で何ができるか?
*授業時間を割いて,全学的な防災訓練を効率よくするためにはどうすべきか?
*価値観の異なる教員・職員・学生が合意形成するために,教職員の置かれた状況を把握できないか?
*そもそも約1万人の岐阜大学関係者を防災訓練に巻き込めるのか?
などなど,
様々な問いを自分たちで設定して,答えのない問題解決にチャレンジしました。

 今回,僕たちが大切にしたことは,「全員参加の防災訓練」を実現するための企画立案です。
 そのために,防災訓練では具体的に何をすればいいかを明確にするために,企画書を作成しました。12月の防災訓練では,
 ①一時避難所への避難確認  ②安否確認メールの確認
 ③カレーライスの炊き出し訓練
 ④避難はしごの使用訓練
 ⑤地震体験車の試乗 
の5項目をやりたいと計画を立てました。
 その中でも特に重点に置いたのは,③カレーライスの炊き出し訓練です。これは,前例がないため職員の方が関与するのは難しく,もしやるならば,学生主体で最初から最後まで炊き出し訓練をやりとげる必要があります。
 250人分のカレーを炊き出すために,じゃがいもやにんじんなどの材料費はいくらかかるかゼロから計算し,食料の保管場所の確保,衛生管理,学生ボランテイアの募集,広報のタイムスケジュール作成,資金面でのスポンサーの確保など,ありとあらゆる準備を具体的に考慮しながら,企画書にまとめあげました。

 最終成果の発表会では,このプロジェクトの一連の流れをプレゼン発表しました。
 防災・減災センターの先生方をはじめ,看護学科の先生方やスーパー防災士の岩井慶次さんが見に来てくださいました(#^^#)   <最終成果発表会の様子>

 岩井さんや先生方からは,次のようなご助言をいただきました。

 *三者連携をする上で,学生・職員・教員の役割分担はどうするか?
 *やはりある程度の強制力をかけないと参加者は増えないのか?
 *学生同士の共助をもっと考慮してもいいのではないか?
 *行動目標と達成された評価基準を設定したほうが次につながる
 *岐大の弱みをもっと分析して,各課題に対する想定をしっかりしたい
などなど。
 幅広い視点から貴重なご意見を寄せていただき,僕たちの詰めがまだまだ甘かったことを痛感するとともに,たくさんのことを学ばせていただきました

 この半年間の講義を通して,プロジェクトを学生自らが行うことで,課題に対する主体的な学びを実現し,課題解決プロセスを通じて調査・問題発見・実行のための基礎的なスキルを身に付けることができたと思っています。 防災センターの先生方や総務課さんなど,多方面の防災関係者との出会いがあり,本当に得られるものが多い授業でした!!

 後期には,「地域防災リーダー実践Ⅱ」の講義にもチャレンジして,前期の実践Ⅰの講義で計画した防災訓練の実現に向けて,岐阜大学の全ての人たちの防災意識を高められるように,行動していきたい決意です!!

P.S.
 このユニークな講義が,6月23日付で日本経済新聞に掲載されました。講義設立の経緯や授業に参加している学生の生の声が全国紙の日経新聞に掲載されました!

【岐阜大学学生保安消防隊  公式Webページ】
facebook.jpg 【岐阜大学学生保安消防隊  Facebook】
文責:岩崎 誠(工学研究科 社会基盤工学専攻 M2)