日本の北アルプスを御存知でしょうか?
飛騨山脈の通称です。
では槍ケ岳を御存じでしょうか?
北アルプスの南部に位置する標高3180m。
日本で5番目に高い非常に険しい山です。
槍ケ岳は北アルプス南部の主要縦走路になっており,槍ケ岳から東西南北には尾根が十字のように伸びております。
その北から槍に合流する尾根を北鎌尾根といい,もっとも険しくもっとも登り甲斐のある尾根として,経験者をひきつけてやみません。
岐阜大学山岳部は,その北鎌尾根を登ってきました。
(※北鎌尾根は一般道ではなく鎖や梯子などの整備はされておりませんので,ヘルメット,ロープ等の装備や技術なしでは入らないよう)
選抜メンバーです。
上級生3人はレスキュースキルも持ち合わせていますので,もしもの時にも心強い。
こんな岩場が10時間ほど続きます。
超長丁場。
自分たちの力量を超えるところはロープを出して確保しながら登ります。
空中回廊。
なかなかの高度感です。
ロッククライミングにおいての危険とは岩が脆いときです。
槍周辺の岩はしっかりして安心。
槍の穂先まであとちょっと。
あと一登り。
そんなところからも登ってこられるんですか?
感無量。
ついに北鎌やりましたー。
13時間半の登り。
雨ふらなくてよかったー。
槍の山頂からは小屋へ一般道を下ります。
一般道は登山客で大渋滞でした。
整備されていないところを歩いていると,
足場を整え整備している人のすごさを知ります。
6人テントを4人で使うという贅沢。
6人用テント。
重くはないけど大きくかさばりましたが,ここで活躍。
ささっとテントで別荘を建てて,
小屋でささやかな祝勝会。
特製カレーはないらしく,おでんとコーラで乾杯。
翌朝の御来光は大成功。
誰も怪我なく無事終えられてほんとうに良かった。
「お兄ちゃんたちどこから来たの?」
「北鎌からです」
「やっぱりか,すげえな」
というやりとり。
優越感に浸りながら小屋をあとにします。
僕たちは危険が目的ではありません。
困難に立ち向かいながら,字のごとくぶつかった壁を目の前にして,
自分たちの判断を頼りに,それらを乗り越えていく喜びを知っているのだと思います。
いろんな山登りがあり,それらを通して信頼できる仲間と成長してゆけたら,すばらしいことと思います。
岐阜大学山岳部
伊藤翼